二藍蝶
あれは確か、高校生の頃
カフェで店員さんと・・・

「藍
 そんなに早く歩けるかよ」

考え事をしながら歩いていた
私の歩む速度は、相当
早かったみたい。

「ごめん」

「俺は、藍がいないと
 何もできねえな」

「えっ?」

「お前が隣にいないと
 不安で、一歩も進めない」

貴方を、不安にさせてしまった

「ごめんなさい」

「謝るなよ、帰ろうか」

「うん、帰ろう」

貴方の速度に合わせて
バス停まで、ゆっくり歩く。

松葉杖を使って上手に歩ける
ようになった頃、浬は
父・庵の付き添いの元
自分の為に命を亡くした
凌の墓参りを済ませ

弦に会う為に
刑務所に面会に向かう。

外で、待っている父。
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