二藍蝶
現れた弦は、思ったよりも
元気そうで、浬はほっとした
のか一粒の涙が頬を流れた。

「カイリ、泣いてんなよ」

弦は、指先で目元をサッと
拭いた。

「うるせえ
 セキ、お前だって
 泣いてるじゃねえか?
 
 バカなことしやがって
 何で、撃ったりした」

「お前の為に、じゃねえぞ
 神前の行動が、癪に障った
 だけだ

 カイリ、俺が決めて
 奴を撃ち、この場所にいる
 これは俺の人生だ
 お前が、どうこう思う
 義理は無い

 お前だって、一年半も
 眠っていたんだろう?
 お互い様だ」

「何がお互い様、だ・・・
 笑わせんなよ」

「なあ、カイリ
 極道、辞めたらしいな
 
 ルイが、ここに来て
 ぼやいてた・・・
 本当にいいのか?
 
 動けるようになったんだろう
 本当にもう戻らないのか?」

自分の太股を擦る、浬。

「ああ
 こんなの、完璧じゃねえ
 
 あいつ等の足手纏いには
 なりたかねえよ」
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