二藍蝶
その半年後・・・

浬は、私に約束したとおり

自分の力だけで大地を
踏みしめて歩いている。

誰も貴方が一年前まで
ベッドで寝たきりだった
とは思わないでしょうね

リハビリテーションの
診察過程を終了した、浬。

「やったね、頑張ったね
 カイリ、おめでとう」

にっこりと微笑ながら
ほんの少し、涙ぐむ藍。

藍の頭を優しく撫でる、浬。

「帰ろう」

頷いた藍は、浬の腕にさっと
自分の腕を絡ませ、腕を組み
足並みを揃えて歩く。

空気のおいしい田舎道をお喋り
しながら、仲良く並んで歩いて
いると、浬の足が石につまずき
足元がふらつく。

藍は、しっかりと浬を支える

一歩を踏み出すことを恐れる
浬・・・

「カイリ、大丈夫だよ
 ほらっ、行こう」

二人は、また歩き出す。

のどかな日常・・・

「そうだ、カイリ
 ネックレス、ちょうだい?」

両手を受け皿にして
差し出す、藍。

「ネックレス?
 って、これ?」
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