二藍蝶
「うん、早くちょうだい」

「何、今が返してもらう
 時なのか?」

「うん、カイリの体が
 治るまで貸してあげたの」

浬は、ネックレスを外して
藍の手に置いてあげた。

「前より、重たいね」

それは、決して高価なチェーン
に変えた事だけが理由じゃない

ずっしりと重いのは、二人が
歩いてきた過去の時間・・・

その重みを感じる・・・

私の知らない、浬の辛さを
このネックレスは知ってる。

私達の全てを、知ってる。

重み・・・

藍が手で持っている
ネックレスに触れる、浬。

「ほらっ、貸して
 
 後ろ向けよ
 
 俺が付けてやる」

ドキドキ・・・

浬に付けてもらったネックレス
やっと、藍の元に戻った。

藍は、二つのイニシャルを
ぎゅっと握り締めて、ほっと
するのだった。
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