二藍蝶
「似合ってる?」

「ああ、似合ってる」

「次は、指輪・・・
 
 その前に、職探しだな
 二人で住む部屋も借りたい
 
 それから、藍
 仕事始めろよ
 
 俺はもう、大丈夫だ」

「うん、社長に話すね」

「藍が仕事を始めたら
 ここだとやっぱり
 便利、悪いよな
 
 以前の部屋は
 そのままになってる
 
 一旦、戻るか?」

藍は、頭を左右に振った。

強く握り締める藍の手が
左腕に食い込む。

「帰りたくない

 都会には・・・」

藍が帰りたくないという
気持ちを、浬は痛いほど
分かっていた。

毎夜

毎夜・・・

お前は言う。

「カイリ、このまま
 ここに住んでもいいよ
 
 二階だと住みやすいし
 カイリ長男なんだし
 ここに・・・」
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