二藍蝶
以前は襖を外して、浬と厘で
広々と突き抜けて部屋を
使用していたが藍が住む事で
外していた襖を、もう一度
取り付けた。

隣の部屋から聞こえてくる
厘の音楽・・・

ため息をついた浬は
覆い被さることをやめて
藍の隣に寝そべる。

「カイリ?」

「ここは、絶対出て行く」

あの街へ帰るのだけは
絶対に嫌。

あの街に帰れば、貴方は

また、極道の世界に・・・

体だってもう以前のように
動けるんだもの・・・

絶対、貴方は戻ってしまう。

私はまた、貴方に
選んではもらえなくなる。

浬が、行っちゃう。

浬にしがみ付く、藍。

「カイリ・・・嫌だよ」

「藍、心配すんなよ
 
 俺は、もう組には
 戻らないさ
 
 この辺りで、二人で
 住む部屋を探そう?」

「うん」
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