二藍蝶
「出ちゃいそうだよ
 次にしようよ」

「ダメだ、こんなところで
 次の電車待てるかよ
 25分は待たなきゃ
 来ねえぞ

 ほらっ、行くぞ」

浬の左手が私の右手を掴んだ

私の前を、駆ける浬・・・

『カイリ、待って

 そんなに早く

 時を駆け抜けて

 行かないで

 私よりも

 ずっと先を歩く

 あなたの

 儚い背中を追いかける』

ピー・・・

閉まるドア・・・

「間に合った
 ギリギリだったな
 藍?」

浬の背中にぴったりと
くっ付く、藍。
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