涙一通。
あれから私と宇田くんは、一度も同じバスに乗っていない。
「え、吉川って東一丁目なの」
「そーだよ?宇田くんは?」
「三丁目。
なんだ、近いじゃん」
でも、教室で、廊下で、話すことが多くなった。
友達は、急に"話すようになった"私たちを不審がったりもしたけど、それはそれ、というか…あまり気にならなかった。
話すようになっただけ。
友達?、って言われたら、違うと思う。
だけど彼は、小さいけど、確実に私の世界を動かしていった。