狼少年とウサギ少女。
「…それ…」

レイくんがもっていたのは、無くしたはずのストラップだった。

「ど、どうしたの!?」

私がきくと彼は照れたように笑って、

「まだ探してないとこあったから、さ。べつにお前の為じゃねーよ、 泣きやまねーと面倒だからだ」

私は、そんな彼を見て少し笑んだ。
でも、笑ったはずなのに同時に涙も出た。

あふれだした涙はなかなかとまらなくて、
言葉も出なかった。

本当は伝えたかったんだ…

ありがとう。嬉しい、大好きだよ、って…

「あー、だから泣くなって…全く、仕方ないな…。」

レイくんは困ったように頭をかくと、

「ほらっ」

私の目の前に、手を差し出した。

「手つないでやる。 だから、笑え。」

そんなことを言って。
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