狼少年とウサギ少女。
「ん…あ…寝ちゃってた…」

ついつい…やばいな、授業始まってるかも…

「む…?」


ふと見ると、ブレザーがかけられていた。


「誰、の?」


私のじゃない。

誰かが来て、かけてくれたのかな…

でも、だれが???


「やっと起きたか」

――あれ?この声…

……まだ夢を見てるの??
頬をつねる。

……痛い……

私がひっそり涙ぐんでいると、声の主が目の前に現れた。

「何してんだ、やっぱり馬鹿なとこは変わってねえな、お前」

そこには、レイくんがいた。

昔と変わらない笑みを浮かべ、私の隣に腰をおろす。

「あ、それ俺の」

ブレザーを指さしてレイくんが言う。
―これ、レイくんのなんだ…。
「えっあ… ハイ」

…かわいくないなぁ…お礼も言えないなんて…

私がうつむいていると、

「痛っ」

いきなりレイくんに頬をつねられた。

「…お前ってさ、ほっぺやわらかいよな」

…つねりながらそんなこと言われても…

私が何も言えずに居ると、レイくんがつねっていた手を離し、私の頭に手をのせた。


「ちいせえなぁ」

「…………!!!」

…一番言われたくなかったことだ。
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