見上げれば・・・Blue sky
夏見が俺の方を見る。



(え・・・あの・・・)



目のやり場がなくて目を泳がせる。



まだ俺の方を見たままの夏見が言う。


「弘毅くんを諦めるために、告る。」



暗かった筈の大部屋なのに、



しっかりと俺の目に映る夏見の顔。



迷いのない夏見の目はまっすぐで、綺麗で、真剣だった。



なんでお前は・・・・



そんなに単純なんだ。



でも彼女は、単純だからって軽い奴じゃない。



単純だからこそ素直で、優しい。



どうして夏見はそんなに素直なの?



あなたの素直さが欲しい。



ちょっとでも、素直になれたら・・・・



みんなにも、本人にも、



「弘毅が好きだ」


って事が伝えられたのかもしれない。



でも俺は素直じゃない。


だからいつまでも・・・


弱いんだ。
< 93 / 173 >

この作品をシェア

pagetop