友達と呼べた日
とにかく今はこのゴリラのような体格をした人達をどうにかしないと。
先輩なんだろーな。

「何黙ってんだ!とりあえずお前、坊主な!」

何言ってんだ。という思いと、
帰って行った響介には興味ないのか
という怒りが湧いてくる。

「え?ちょ待ってください。
なぜ俺が坊主にされるんですか?」

「なんだその言い方は!おい連れていくぞ!」
他にどんな言い方があるんだ。
誰か、この場における正しい言い方を知っている教養人がいたら
ぜひ教えてほしい。

「勘弁してください。周りも見てますし。」
気付けば同級生達が憐れんだ視線をプレゼント。

「あれ?お前ここに入学したんだ!」

絡んできた男達の動きが止まり、
声の方向を向く。同じく俺。

そこには剣道の防具をつけた人が
こちらに向かってきている。

腰に竹内と刺繍が入っていた。
誰だ・・

「ここに入学してきたのか」
もう一度聞いてきた。

「そうです。」
俺はとっさに答えてしまった。

「そうか、じゃぁこれからよろしくな」
と言って面を取った。

少しくせ毛がかかった髪で、白い肌。
さっきまで練習していたんだろう。
頬が赤らんでいる。
こんな綺麗な人と俺は知り合いな訳がない。

「竹内さん、知り合いですか?」

男の質問にその竹内さんは強めの口調で答えた。

「あぁ。そうだ。何かあったのか?」

「い・・いえ、何も今から練習に行くところです。」

「そう・・じゃぁ急ぎな」

あわてて男達は体育館の方へ走って行った。

竹内さんは俺に背を向けて歩いていったが、
体育館に入る前に振り返り笑ってみせた。


< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

霧ヶ里コンビニエンス
白冷水/著

総文字数/349

ミステリー・サスペンス1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop