甘く・深く・愛して・溺れて
隆治君はそう言って、少しの沈黙の後、



『兄貴、学校辞めるんだ。今は知り合いの所で住み込みで働いてる…。夏休みに入ったら、学校側に挨拶しに行くって言ってた…。退学届けってやつを出すんだろ?』



『……隆司……。えっ…ホントに?学校っ……辞めちゃうの?』



いつも元気で、クラスの中でも人気がある隆司。



隆司のその明るさに何度もあたしは助けられたんだ。



隆司が学校に来なくなって、クラスの誰もが、



隆司の存在感が大きかったことを実感したんだ。



『俺ん家、親が離婚すんだよ…。母ちゃんを支えていくのは自分だ!って、兄貴は兄貴なりに考えて出した答えなんだ…』
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