甘く・深く・愛して・溺れて
だけど隆治君は、そんなあたしの反応とは逆に、



『兄貴には伝えとくよ…』



ひと言、意外な言葉をボソっとつぶやいた。



『えっ…いいの?ありがとうっ』



『お礼は俺があんたにいい返事が出来た時に言えよ…』



『うん…宜しくね…』



本当はもう少しお礼を言いたかったけど、



次の瞬間には切れていた電話。



最初、無愛想で冷たい感じにしか思えなかった隆治君だけど、



そうじゃなくて、心から兄である隆司を大事に思う弟なんだよね…。



ぶっきらぼうな言葉を並べながらも、



そこには全部、隆司への気持ちが詰まっている気がした。
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