甘く・深く・愛して・溺れて
お互いに想い合っているのに、すれ違ってきた結菜と隆治君。



もし隆治君が結菜の気持ちを誤解しているのなら、



答えは簡単……その誤解を解けばいいだけ。



『………マジで?…』



『うん…。結菜の携帯、ストラップはひとつしかついてないから間違いないよ』



隆治君はしばらく黙ったまま、あたしの手の平にあるストラップを見ていた。



『結菜はきっと隆治君をまだ今も想ってると思うよ』



あたしは結菜が隆治君のことを話す表情をいつも見ているから分かるんだ。



『年下とか関係ないんでしょ?俺は俺なんでしょ?さっき、そう言ったじゃん?なら、自信持って、結菜に会えばいいんだよ』



あたしがそう言うと、



『兄貴のためにあんたを兄貴の所に連れて行こうとしてんのに、なんで俺、あんたにこんなこと言われて励まされてんだろうな…』



と、隆治君は少し恥ずかしそうに笑った。
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