甘く・深く・愛して・溺れて
隆司は掴んでいたあたしの手首をそっと離した。



『暑いけど、ここでいいか?』



少し歩いた砂浜に持っていたタオルを敷いてくれた隆司。



パンプスを脱いで素足になったあたしはそこに座った。



『こんな遠くに来てくれてありがとな…。マジで会うの久しぶりだよな…』



隆司と二人、しばらく海を眺めた。



周りには海水浴を楽しむ親子や砂浜で寝そべる人達。



夏休みの週末の海はとても賑やかだ。



『あたし…隆司には聞きたいことも言いたいこともありすぎだよ…』



隆司の視線を感じながら、あたしはゆっくりと口を開いた。
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