甘く・深く・愛して・溺れて
本当なら、もう少しここにいたいとは思う。



けど、隆司はきっとそれを望まない気がした。



『……帰ろっか…?隆治君はもういいの?』



『俺はどっちでもいい。まっ、基本、人ゴミは嫌いだから…』



時間が経つにつれ、砂浜は海水浴客であふれていた。



結局、隆司の働く海の家の前を通って帰ることにしたあたし達。



『いらっしゃいませ~』



威勢のいい声の店員さんの中に隆司はいた。



『ご利用いかがですか~??』



『ありがとうございます!!2名様、どうぞ、こちらへ~』



笑顔を振りまき、元気よく接客する隆司の姿。



隆司はあたし達に気づくことなく、店内へとお客さんを案内しながら入っていった。
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