甘く・深く・愛して・溺れて
『あたしみたいな高校生が来るような、お店ではないみたいだけど……』



制服のままのあたしは、どう考えてもなんだか浮いている気がした。



あたしはなんとなく落ち着かない気分のまま、



空人の話に時々頷きながら、食事を済ませた。



サラダもカルボナーラも美味しかったけど、



どうしても心の底から楽しめなかった。



『月美はそのままで、今のままで可愛いよ…変わらないでいてほしい…』



空人はあたしによくそう言うけれど、



あたしはそうは思わない。



空人にとってあたしはただ「可愛い」だけの存在であるとしたら、



あたしはもっと変わりたい。



本当はもっと大人になりたい。



そしたらこの心の中のモヤモヤしたものも全部、



空人へ伝えることが出来るんだろうな…って思うから。
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