甘く・深く・愛して・溺れて
『…その人とのこと、すぐ嫌いになって別れるほど適当な気持ちじゃないの…もしかしたら隆司に嫌な思いさせちゃうかもよ…』



『いいよ…俺は月美のそばで待ちたい…そうしたいんだよ。それでも月美がどうしても、そいつを選びたいならそうすればいい…その時は男らしく諦める!』



あたしの気持ちの中にグルグルと渦巻くズルい答え。



やっぱり…あたしはズルいんよね…空人と別れる気なんてないのに、この隆司の気持ちを失いたくないんだ。



『……じゃあ……隆司がそう思ってくれるなら…』



『えっ!!』



『……うん…宜しく…ね』



あたしは差し出された隆司の手をそっと握った。



それが、あたしの出した答えだから。



『マジ?超嬉しいんだけど!!』



隆司はしっかりとあたしの手を握り返して、嬉しそうに笑った。
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