甘く・深く・愛して・溺れて
『さぁ、到着しましたよ!』



先に車から降りて、エスコートするかのように、助手席のドアを開けてくれた空人。



周りを見ても、辺りは真っ暗で、山道だから街灯もない。



『着いたって…どこに?』



『おいで!こっち、こっち♪』



空人はニコッとしながら、あたしの手を引っ張るようにして、歩き出した。



どう見たって、静かで、何もない場所……。



そう思いながら、道路脇のスペースで立ち止まったあたし。



えっ……これ……これって……。



『どう??気に入ってくれた??』



これって……すごい。



『……綺…麗っ…』



目を丸くして驚くあたしを、



空人は嬉しそうに見つめていた。
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