甘く・深く・愛して・溺れて
分かってる……分かってた。



外を見てしまったら、



あたしは隆司と帰ることを忘れてしまうくらい、



教室から勢いよく、駆けだして、階段を降りてしまう自分を。



結菜は少し複雑そうな顔をして、



『月美…月美には隆司が…。今は隆司なんだよね?……隆司見てるよ…月美?』



小さな声で、あたしが冷静さを欠かないように、そう言ってくれた。



あたしが見下ろしているのに気づいたのか、



ゆっくりとドアを開け、車から出てきた空人。



あたしは周りを気にする余裕もないくらいに、



空人のもとへと走り出した。
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