甘く・深く・愛して・溺れて
隆司がどんな気持ちで、そんなあたしを見ていたのかなんて、



あたしはちっとも考えてなくて、



ただ空人に会いたくて、



ただ空人に触れたくて、



一気に階段を降りて、息を切らせながら、校門を出た。



少し見ない間に、髪が伸びた空人。



細くて長い指が、空人に抱きついたあたしの頭を撫でる。



『月美……』



声を聞いただけで、名前を呼ばれただけで、



愛しくて、大好きで、



その溢れそうな想いに、呼吸さえ苦しくなりそうだった。
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