甘く・深く・愛して・溺れて
教室の窓の方を見上げると、



何人かが顔を出し、こっちを見ていたけれど、



さっき見た時にはいた隆司の姿はなかった。



『今から俺ん家……行くから』



空人は運転席に座り、サングラスをかけた。



『えっ…空人のっ??』



びっくりして大きな声を出してしまったあたしを空人は優しく笑う。



『そんなに驚くなよ』



『だって…空人の家なんて…初めてだから』



行くことも、行けることもないと思っていた場所だから。
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