甘く・深く・愛して・溺れて
『…隆司っ…離してっ』



『駄目だ……。月美……行くなよ…一緒に帰ろう??』



あたしにしがみつくようにして、つぶやく隆司。



あたしはどう答えることも出来なくて、



黙ったまま、立ちすくむしかなかった。



すると、そんな様子を見ていた空人が、隆司に視線を向けた。



『……君、誰??』



ゆっくりと落ち着いた口調の空人は、



かけていたサングラスを外し、そう言って隆司に声をかけた。
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