甘く・深く・愛して・溺れて
だって、隆司があたしの腕を離したとしたら、



あたしはきっと迷いながらも、空人の車に乗り込むはずだから。



『隆司……ゴメンっ…あたし……隆司を選べない……』



『嘘だ……冗談だろっ…俺達…これからだろ?…好きなんだよ…お前だって…俺のこと……っ…』



空人は再びサングラスをかけ、小さなため息をつき、



『月美の答えは決まったな…。行くぞ、月美』



車の中から助手席のドアを開けた。



『彼氏君、月美と話し合うのは、時間がある時にしてくれないか??俺も今日は月美と大事な話があるんだ…悪いけど、月美は借りるよ…』



どこまでも、冷静で落ち着いた言い方で、空人は隆司に言った。
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