甘く・深く・愛して・溺れて
『月美がこうしてここに来てくれたんだから、それでいいんだよ』



あたしをなだめるかのように優しい口調の空人。



『今日は俺もお前と話し合わねぇとって思ってたから、ちょうどいいわ…』



空人はそう言いながら、あたしの髪を撫でるように触る。



『ずっと月美には嫌な思いをさせちまってるよな……』



あたしを見つめる空人の視線。



『……嫌な思いばっかりじゃないよ…』



空人と目が合うだけで、



あたしの心臓はこんなにも波を打つようにうるさくなるんだ。
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