あいつのキスの練習台


「ぽつーんって感じ」


 気が付けば、もう教室にはあたししか残ってなかった。

 さっきまで聞こえてきた騒ぎ声や、隣の教室から聞こえる歌声なんかも途絶えてしまっていた。


 多分、校舎内には人がまばらにしか居ないハズ。


「真琴」


 優しいその呼びかけに、心臓をぎゅっとつかまれたみたいになった。


 聞きなれた愛しい声のする方に顔を上げると、ドアの所には達也が立っている。

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