あいつのキスの練習台


「――分かった。でもヘタだからって笑っちゃヤだからね」


「それ、俺のセリフ」


 くすくすと笑い合った後、数秒の沈黙。

 
 そしてどちらからともなく目を閉じて唇を重ねあう。


 口の中に達也の舌が進入した時、それに応えようとあたしも必死になる。


「――っ。はぁ」


 どのタイミングで息をしていいのか全く分からなかった。

 無我夢中で頑張ってみるけど全然味なんてしないし、それに苦しいだけだ。


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