あいつのキスの練習台

「たまには小説でも買おう」

 
 翌日の夕暮れ時、あたしは大きい書店に来ていた。


 商店街の一角にあるこの書店は昔馴染みのお店だった。

 お店のおじさんとも仲が良いし、たまにお菓子なんかもくれちゃったりするんだ。


「久しぶりだねー、真琴ちゃん。好きな作家の新作、入荷してるよ」


「えっ本当!? 買う!!」

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