あいつのキスの練習台

 るんるん気分でお店から出た瞬間、あたしは本を落としそうになった。


 斜め前の少し暗い一角に居た達也――と、彼女だった。

 
 暗かったから表情までは読み取れなかったけど……二人を見て胸が痛くなった。


 やっぱりあたしは達也が好きなんだって痛感したんだ。



「あ――」


 暗がりの中で、ごく自然に二人はキスをした。


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