花言葉

序章

−とある学校の裏庭−



「今日もいい天気だね！」



と元気よく、花に話しかけている女の子。彼女の名前は、澤川 柚菜（さわかわ ゆずな）。花の世話をすることを生きがいにしてる女の子。



「今日も綺麗に咲いてるね！」



と花に話しかけながら、水をかける。



−やっぱりここは安心する…。



彼女は、あることがきっかけで人と話せなくなってしまった。クラスでも、目立たないように、眼鏡をかけ、根暗な子で通っている。



朝の日課である水やりを終え、教室に戻る。



−２-Ｂ−
教室に戻り、自分の席に着く。席に着くと、机の中から、授業に必要な物を用意し、本を読みはじめた。しばらく本に集中してると、



「本の虫っか！柚」



と声が聞こえた。本から目を離し、声がした方を向く。



「朔哉（さくや）。今日は遅刻しなかったんだね。」



と嫌味っぽく、言いながら、視線を本に戻す。彼女に話しかけた子の名前は、片岡 朔哉（かたおか さくや）。彼女の幼なじみで、唯一話せる男友達。



「朝から、柚は冷たい…｡」



と落ち込んだように言う。でも、彼女は無視。



「朔哉君、そんな子、ほっといて、こっちで話そ！」



とクラスの女子が、朔哉を呼ぶ。朔哉は、



「…いつまでも、そうしてるんだよ。わかってるんだろ？」



と柚菜の耳元で話し、自分を呼んだクラスの女子の方へと移動した。



−…そんなのわかってる。でも…。




そう思いながらも…、また本に目を通した。






そうこうしているうちに、授業開始のチャイムが鳴った。





あっという間に一日の授業が終わり、いつものように、裏庭に向かう柚菜。




この日が、彼女を変える日となるは…。