こうしてピアノをやめてから2ヶ月が経過した頃の放課後、スーザンが僕を呼び止めた。

僕の心の中はまだエミリーのことで溢れていた。


「残念ね、マーク」


「何がですか?」


「エミリーのことよ」
 
きっとエミリーがスーザンにすべて話したのだろう。


「ええ」


「ドイツに行くんじゃ、ピアノはもう教われないものね」
 
僕は自分の耳を疑った。


「えっ、ドイツってどういうことですか?」


「どういうことって、あなた知らなかったの?彼女、今の大学を辞めてドイツの音楽大学に留学するのよ。とっても有名な大学で入学するのも大変なところなのよ」
 

スーザンのその言葉に僕の胸は締めつけられた。



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