「それで彼女はまだこっちにいるんですか?」


「さあ・・・この前電話で話したときはもうすぐ出発するって言っていたからどうかしら」とスーザンは言った。「ねえマーク、あなた本当に知らなかったの?」
 
もちろん知るわけがない。

僕は急いでエミリーのアパートに向かった。

こんなことになるなら、どうしてもっと早くこうしなかったのだろう。

どうかエミリーがまだいるように、どうか間に合うように祈りながら僕は懸命に走った。


しかしもう遅かった。


エミリーの部屋の入り口のドアには【空き部屋 借主募集】の貼り紙が貼られていた。


僕の目の前は真っ暗になった。

僕は自分の性格を呪った。

ぎりぎりまで追いつめられてからでなければ何もやらない自分の性格を。
 



エミリーから手紙が届いたのはその日だった。

帰宅した僕に母が渡してくれた。

彼女の住所は書かれていなかったが、切手を見ると国内で投函されたものだった。

僕は自分の部屋へ行き、はやる気持ちを抑えゆっくりと丁寧に封を切った。

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