それからも僕は時が経つにつれ回数こそ減っていったが、たびたび泣いた。

確かに母の言うように涙は決して枯れない。

しかし流した涙は少しずつ変わっていった。

子供の頃流した純真そのものだった涙は、重ねた経験により次第にその涙に見えない濁りとなって表れた。

そして流した涙の数だけ僕は大人になっていった。
 

思えば、あの16歳のときに流した涙をさかいに僕は大人になろうと決めたのだ。

あの涙を流したとき、僕は幼いということは時に自分を、そして他人をも傷つけてしまうということを思い知ったのだ。




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