揺らぐ幻影

排水溝に引き込まれていく透明な水は潔癖で、汚れなんてないように思う。

目線だけ動かし、鏡の中にいる少女の服装を確認した。


衿は大きく胸元までえぐってあり、肩が隠れるくらい広がっていて袖の役目も果たしている。

バイカラーの赤茶色は裾に向かって広がっており、チラリズムにそわそわしそうな丈の小悪魔な印象のワンピース、

胸下からウエストには白いコルセットを巻いているような感じにフェイクされ、

身体に馴染んでいると思うし、本当に似合っているなと思う。


クラシック、レトロ、ハイセンス、そういう単語が織り成す衣装は、

煉瓦造りの町並みを歩くと似合うはずだ。

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