野生的王子サマと期間限定の恋

「もー、原先生も当日になって『転校生だ』って言うなんてひどいよね~。
しかもあたしらのクラスじゃん? 美人だし、めっちゃテンションあがったよ」

「それにさ、小西に目を付けられるとかまぢいいな。
小西って馬鹿だけどイケてるしね。よかったじゃん、山下さん」


 いやいや、決して美人ではないし目を付けられる対象ではないと思いますけれど……。


 でもこれって……歓迎されてるのよね!?

 嘘……! 夢みたい!!


 なら……さっきの小西くんの発言は、『ウケ狙い』って意味でとっていいのかしら?


「ねぇねぇ。山下さんのそのバッグいいな。どこで買ったの??」

「あ、ウチも思った。そのペンポも可愛いね」


 あ、早速……!!

 わたしはちょっと得意げになって、にこっと笑って言った。


「このバッグはイーストボーイの新作なんだ。
ペンポはレスポの新作♪

転校で緊張してたから、モノで気分上げようと思って」


 そう。

 話しかけてくれると友達だってできるかも知れないわって思って奮発してしまった。

 貯金……少し怪しいけれどね。。。


 よかった。気づいてくれて嬉しいわ。





 それに……今思ったけど、転校生って得かもしれないわ。

 初めてのものとか見慣れないものとかってみんな興味があるもの。
 転校生も一緒よね。




 よしっ、あとは輪に入るだけ。



 昨日あれほど練習したんだから……言わなくちゃ。

 みんながまだわたしを見てくれてくれているんだもの。


 覚悟を決めて口を開いた。

「えっと……わっ、わたしのこと、友梨恵って呼んでっ……??」


 わわわっ……噛んじゃったわ!!

 恥ずかしい……///
 寝るのも惜しんで練習したのにっ!!


 思わずぎゅっと目を瞑った。


「……」

 返事が、ないわ。


 ダメだったのかしら……??

 図々しいお願いだったの……??



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