野生的王子サマと期間限定の恋
何を言われるのかとドキドキしていると、隣にいた女の子が噴き出した。
「ぷっ……全然いいよー。
固くならない、ならない。
あたしは稲葉菜摘海(イナバナツミ)だからなっちゃんって呼んで?
よろしくね~」
『呼んで』って……!?
ほっ……。
よかったわ、図々しくて嫌われたのかと思った。
「うん、ありがと///メールするね」
嬉しい。ホントに嬉しいわ。
今日1日でこんなに嬉しくて幸せで……いいのかしら。
幸せすぎると逆に不安になってくるのよね。
今までも似たようなこと体験していたもの。
でも、今は引っ越ししないでいいから気にしなくていいのよ、友梨恵。
「あー! なっちゃんズルいー!!」
「メールって……このメモか!!」
「ウチも教えるよ!」
「友梨恵、気軽にメールして!」
なっちゃんをはじめとして、短時間でわたしは沢山のメアドのメモをもらってしまった。
こんな沢山あったら顔と名前が一致しないわっ!
……なーんて、そう思ってしまったけれど大丈夫だった。
メモの一つ一つに名前(漢字+よみがな)とプリが貼ってあったんだもの。
感動してしまったわよ、わたし。
その晩、一番最初に仲良くなったなっちゃんと一睡もせずにメールをしてしまった。
遅い時間だし、送るのは迷惑だって分かっていたけど、なっちゃんの即レスすごいんだもの。
ものの1分で打って送ってきちゃったんだから。
付き合ってくれて嬉しかったわよ、なっちゃん。
メアドも登録数が一気に増えたしね。
優しくて温かくて……わたし、ここに来てよかったわ。