野生的王子サマと期間限定の恋
第一章
野生的王子サマ
「あっつ――いっっ!!」
大きな道の真ん中で、1人、私は叫んだ。
みなさん、こんにちは。
自己紹介はひとまず置いておき、私はいま非常に困っています。
なぜなのか?
只今歩き続けて2時間経過
汗だくになっているのはもちろんのこと、今、手にしている地図のどこにいるのかさえさっぱり。
ははは。
…………完全なる方向オンチ。
昔からそうでした、母親から1人で行動してはいけないと教訓を与えられていました。
……って今はそんなこと関係ないんです。
(いまさら悔やんでもしょうがないし……)
あ―――― 、もう!
, , , , , ,
どうして冬なのに暑いの!?
アフリカでもなく、中央アジアでもなく。
ここは紛れもなく日本。
そうなのです。わたしはとある事情で今日から沖縄に居るのです。
(すみませんがこの説明はまた後で)
「ここ……さっき来たじゃない!!」
目印にしようと思って看板に乗せておいた
制服の黒チェックのリボンが
『めんそーれくまへめんそーれましちゃん(ようこそここへいらっしゃいました)』
と馬鹿にしたように私を迎えてくれる。
これは嬉しいのかしら、哀しいのかしら。
そんなこと、ちっとも分からなくなってきたわ。
「最悪だわ。……どうしてなのよ」
そもそもの元凶はこんなとこではないのよ。
そうよ、そんなことは分かっているわ。
目にじわり、汗――――ではなく熱が溜まっていくのが分かる。