野生的王子サマと期間限定の恋
石ころを蹴るのに夢中だったわたしはゆっくり地面から顔をあげた。
「わぁっ……海!!」
キレー…………。
海が太陽の光を反射して、水面がキラキラ光っている。
真っ白な砂浜
エメラルドグリーンの海
キレイ過ぎて言葉も出ない。
こんな景色、初めて見たわ!!
1人で景色に見入っていたその瞬間。
ふっと、潮の香りがした。
「……やー、たー? (お前、誰?)」
びくぅぅっ
背後から聞こえた変な言葉に、わたしは恐る恐る振り向いた。
え?
が、外人っ!?
色黒……黒人かしら?
でも瞳は黒いわ。
な~んか見たことある顔よね……
あ! シーサーよ!!
シーサーに似てるわ!!
……って冗談言ってる場合じゃないわっっ!!
わたし、英語を話すのは得意だけどこの人が話した言葉は英語じゃなかったし……。
どこの国の人なのよ。
困るわ!!
わたしに何も聞かないで~っ!!
「蹴っのみぐさぁ~もぬを拾えよ(蹴ったものを拾えよ)」
な、何何何!?
何言っているのよ!!?
パニック状態になったわたしはその人の顔を見て、大声で叫んだ。
「ワタシニホンゴハナセマセンッ!!」