野生的王子サマと期間限定の恋
 それより……。
 いろいろ聞いちゃ、まずかったのかしら??

 図々しいのかもしれないわ……。


 ちょっとブルーになっていると、先生がいきなり持っていた日誌でその子の頭を叩いた。


「ばーか、小西。
嫌われたら元も子もないだろ?
, , , , , ,
そーゆーことはモノにしてからゆーべきだっつーの」


「そっか」


 え……??

 そーゆーこと?
 モノにする?


 どういうことなの??


「ほら、山下も困っているだろ。
小西、分かったらさっさと座れ」

「はーい」

 いえ、先生、わたし困っているのではなくて……。

 先生と小西くんの会話がよく分からなくて、わたしはぽかんとしていた。


 でもひとつだけ――――その会話でクラスメートがくすくす笑っていたからきっとウケ狙い……それはないわね。
 きっと、茶化してるんだなってことが薄々感じとれた。



 やっぱりわたしって歓迎されてないのね。

 少しは思っていたことだけど……淡い期待が、小さな風船が、勢いよくつぶれたみたいにショックだわ……。



「山下は……後ろの空いてる稲葉の隣な。
じゃ、HRはこれで終わりだ。日直、号令」

「はい……」



ガタタッ



 日直の人の号令でみんながいっせいに立ち上がる。

 気分が乗らなかった私もゆっくり立った。



 わたし……大丈夫かしら…………??


 こんなことでは友達なんて出来そうもな……「山下さんっ!!」


 礼をした瞬間、クラスメート(特に女子)がいっせいに集まってきた。


「山下さん、あたし白川友香。よろしくね!」

「ウチは内山愛梨渚!アリスでイイよ~」

!!

 え……!?
 クラスメートが話しかけてくれてる……??

 わたし、嫌われてたんじゃ……!?


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