天国の武に告ぐ
「昨日はよく眠れた?」「うんよく眠れた・・ただ夢見た」「夢?」「うん武さんの」「重症だね片思い」「うん」「そんなに彼のことがすきなの?」「うんとても好き」「そりゃそうだよね3年越しの片思いだもんね」「うん」


「今日こそは声かけてみたら?」「うん」「タロットでどう出るか占ってみなよ」「うん今日丁度持ってきたんだ」「ふうん」シャッフルする音が消えて美紀の手がとまる。

引いたカード・・運命の輪、タワーのリバース、死神、恋人のカードそれから正義の剣。「どういう意味?」「二人は恋人になれるけど何か災いがあって喧嘩するそれから武さんが死ぬかもしれない。「怖いねえ・・」「うん怖い」「まあ当たらぬも八卦当たるも八卦だと思うけど」「そうだね」「大丈夫だよ」「うん」「彼あんなに元気じゃない」「そうだね」


授業が終わった彼に声をかけてみようと思った、「ねえ今日こそは声かけてみよう」「うん」「ありがとう」水泳部に行ってみた、見学させてくれるか聞いてみた・・

あっさりといいですよとの返事邪魔にならないように端っこで見ていた。

「はじめまして」心の中でそうつぶやいた・・・・・・・・・・・・・・「はじめまして」遠くから声を心の中で何度もかけている。でも声は届かない・・・
勇気がまだないんだよね勇気が。


そうしていたら武さんがやってきた、そしてにこっとこちらを向いて笑った。
「武さん」「こんにちは」「見学なの?」「はい」「見学なんです」彼の白い歯と笑った顔が素敵だった。「はじめまして」「ずっと遠くから水泳みてました」「貴方のファンです」「そっか俺にファンなんていたんだ」「はい」「水泳するときのフォームがすごくきれいだなって思ってた、私は病気がちで体が弱いから。「そっか」「だから健康体の貴方にすごく憧れがあった」びっくりしたようにすらすら口から毎日家で練習していた言葉が出てきた。



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