約束した、あの場所で…。
「京、柚麻ちゃんから手紙来てるわよ?」


母が部屋に入ってくるなり、俺に伝えてくれた。


俺は慌て過ぎて、椅子から転げ落ちた。


「いってぇ…」


「大丈夫?…もう、手紙は逃げないんだから、慌てなくても良いのに」

手紙を机の上にソッと置くと、母は部屋から出て行った。


「柚麻…」

多分、この時の俺は凄くニヤニヤしていて、さぞかし気持ち悪いことだろう。


【京君へ】
『手紙ありがとう。京君が元気だと知って、私はホッとしました。あ…勿論、私も元気だから安心してね★…京君、私はいつまでも、京君の帰りを待っています。……P・S・京君、京君の為に写真を送ります。感想聞かせてね♪』



俺は、封筒の中身を調べると1枚の写真が入っていた。


2人の女の子達に囲まれた、真ん中に居るのは……えぇ!?柚麻…?


俺は、目を見開くくらい驚いた…。
なぜ、驚いたかって?



柚麻が凄く、可愛くなっていたからだ。


写真の中で微笑んでいる柚麻の顔は、少しだけ大人っぽくなっていて、更に可愛さも増していた。


「柚麻…こんなに可愛くなったんだな」
写真に触れながら、俺は涙した。


ー柚麻…


俺は、涙を拭うと受話器へと向かって走っていった。


【プルルル…プルルル】


凄く長く感じる、この時間。

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