約束した、あの場所で…。
「行きたくないよ…」

そう言って震えながら、私を抱き締めてくれた。


これが最後なんだと思うと、涙腺が緩んで涙が止まらなくなった私は、京君を力強くギュッと抱きしめて返した。


京君の匂い…温もり…吐息…心臓の音。
もう全てが、愛おしくてたまらない。


「京君、京君………」


何度も何度も、名前を呟く。
止めることが出来ないのなら、今この場所で、愛する人の名前を呼ぶ。


ーお願い、それだけは許してー

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