一なる騎士
「それは、私が選ぶべき王を間違えたからだ」

「だから、間違いを正そうとしている。それは、決して悪いことじゃないさ。正当な王を王座につける。しかし、それだけで根本的な解決になるのかい。人は神じゃない。間違いを犯すものだ。一度起きた間違いだ。今のままなら、再び同じ間違いが起こらない保証はどこにもない」

「だから、大地の剣を破壊しろと。剣を破壊し、王を失い、世界を苦難にさらせと」

 そんなことはできない。
 大地の剣を破壊するなどと。

 女神の定めし世界の理を否定することではないか。

 いや、それは、まさしく世界を破壊することではないのか。

「嘘だ。そんな、そんなことを父が言うはずがない!」

 半ば混乱したリュイスの叫びに、別の声が答えた。

「いいえ、ほんとうですよ」

 振り返った先にいたのは、精霊使いの長である青年だった。


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