一なる騎士
(10)大地の剣
公爵からリュイスに私室として与えられた部屋は、広いばかりでなく豪華な調度品で埋め尽くされていた。豊かなセイファータの権勢を誇示するように。
「元気ですよ」
精緻な皮細工を施してある柔らかなソファに腰を下ろすなり、クレイドルは言った。
「なにが元気なんだ」
いきなりの切り出しに、さし向かいに座ったリュイスはけげんげな顔をした。
「気になってしかたがなかったんじゃないんですか。あの小さな金の姫君ですよ。『封の館』に着いてしばらくは、体調を崩して一時期はほんとうに危なかったんですが、いまは順調に快方に向かっています。王宮にいたころよりは体重も増えていると思いますよ。まだ標準には程遠いですけれどね。精霊使いとしての勉強にも取り掛からせたところです」
「それはよかった」
本心から安堵の表情を見せるリュイスに、クレイドルはふわりと微笑む。
青い瞳が悪戯ぽい光を帯びた。
「もうひとり気になる方がいるでしょう?」
「元気ですよ」
精緻な皮細工を施してある柔らかなソファに腰を下ろすなり、クレイドルは言った。
「なにが元気なんだ」
いきなりの切り出しに、さし向かいに座ったリュイスはけげんげな顔をした。
「気になってしかたがなかったんじゃないんですか。あの小さな金の姫君ですよ。『封の館』に着いてしばらくは、体調を崩して一時期はほんとうに危なかったんですが、いまは順調に快方に向かっています。王宮にいたころよりは体重も増えていると思いますよ。まだ標準には程遠いですけれどね。精霊使いとしての勉強にも取り掛からせたところです」
「それはよかった」
本心から安堵の表情を見せるリュイスに、クレイドルはふわりと微笑む。
青い瞳が悪戯ぽい光を帯びた。
「もうひとり気になる方がいるでしょう?」