一なる騎士
第4部 大地の裁き
(1)封の館
よく晴れた昼下がりだった。
外はすでに寒風が吹きすさんでいたが、暖炉に火を入れた部屋は陽が当たることもあって別世界のように暖かい。
テーブルの上に針仕事を広げたサーナの側では、まだ幼さの残る教師による講義が始まっていた。
「精霊使いが扱える精霊は五種類。火、水、光、土、風。火の精霊は……」
セラスヴァティー姫の教師に派遣されてきたアディリは、まだ十二にしかならないと言うのに、とりつくしまもないほどに無愛想で可愛げがなかった。
いくら成績優秀と聞いても、情緒面に問題がありすぎるように見えた。幼い姫にきつくあたるのではないかと最初は心配でたまらなかったものだ。しかし、それは幸いなことに、まったくの杞憂に終った。
アディリは幼い姫君に対して特に優しくするといったふうではなかったが、辛くあたることもなかった。
むしろ精霊使いの長の言うとおりに優秀で熱心な教師であった。
四つの子ども相手とはいえ手抜きはしない。幼い生徒の素性も知っているはずだが、特別扱いもしない。傍で見ていても、懇切丁寧に教えているのがわかる。
精霊についてはまったくの門外漢なサーナでも、聞いていると興味をそそられるものがあって、彼女の講義にいつのまにか耳を傾けていることが多かった。
しかし、今日のサーナはいつものように彼女の講義を聞いてはいなかった。
外はすでに寒風が吹きすさんでいたが、暖炉に火を入れた部屋は陽が当たることもあって別世界のように暖かい。
テーブルの上に針仕事を広げたサーナの側では、まだ幼さの残る教師による講義が始まっていた。
「精霊使いが扱える精霊は五種類。火、水、光、土、風。火の精霊は……」
セラスヴァティー姫の教師に派遣されてきたアディリは、まだ十二にしかならないと言うのに、とりつくしまもないほどに無愛想で可愛げがなかった。
いくら成績優秀と聞いても、情緒面に問題がありすぎるように見えた。幼い姫にきつくあたるのではないかと最初は心配でたまらなかったものだ。しかし、それは幸いなことに、まったくの杞憂に終った。
アディリは幼い姫君に対して特に優しくするといったふうではなかったが、辛くあたることもなかった。
むしろ精霊使いの長の言うとおりに優秀で熱心な教師であった。
四つの子ども相手とはいえ手抜きはしない。幼い生徒の素性も知っているはずだが、特別扱いもしない。傍で見ていても、懇切丁寧に教えているのがわかる。
精霊についてはまったくの門外漢なサーナでも、聞いていると興味をそそられるものがあって、彼女の講義にいつのまにか耳を傾けていることが多かった。
しかし、今日のサーナはいつものように彼女の講義を聞いてはいなかった。