一なる騎士
 人の身でどうしてあれほどの気の流れを受け止めることが出来たものか、クレイドルにはわからない。精霊たちもが巻き込まれて悲鳴をあげていたというのに。

 いや、平気ではなかったのかもしれない、リュイスは。
 最近の彼の変貌はこれのせいだったのか。

 命を育む<気>の流れとは、また力そのもの。強力な<気>の流れは強大な力をもたらす。

 純粋な力を。
 精霊たちを通して使う力などとは比べようもない。

 そして、いまやそれがリュイスのうちに潜んでいる。

 迸るときを待っている。 
 大いなる力が。

 尋常ではなく。
 精霊のようなあいまいなものでもなく。
 人のそれでもない。

 それは。

 それはまさしく。

「おい、どうした」

 精霊使いの長の異変に気づいて、エイクが声をかけてくる。
 うながされるままに言葉を紡ぐ。
 それはもう直感だった。

「女神だ、女神が降臨した」

 告げたクレイドルの声は震えていた。

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