一なる騎士
(8)王の去就
まばゆいほどに白い大広間。
つややかに光る白大理石の床。
高い天井もまた純白。
それを支えるために等間隔に建てられた円柱は白亜。
柱にしつらえれたランプから放つ光が、施された複雑な彫刻に奇妙な陰影を与える。
奥にしつらえられた一際高い壇上の王座は、天窓から差し込む光にまばゆく照らし出されていた。
何もかも白い中、王座のさらに奥には、『大地』の歴史を織り込んだ豪華な綴れ織りが下がっている。
金糸銀糸をふんだんに織り込んだ綴れ織りは、また陽の光を眩く弾いていた。
ここは『王の間』。
王宮の中心とも言える場所。
代々の王が謁見のために使ってきた大広間である。
常ならば、はなやかなに着飾った延臣が居並び、謁見を求めるものたちが後をたたない時間でもある。
しかし、今この場にいるのは、王と王の家族と乳母そして一人の騎士だけに過ぎない。ひっそりとしたものである。
いや、ここだけではなかった。
王宮内はすでに閑散としていた。
多くの近衛騎士が『一なる騎士』の軍に自ら投降し、王族に連なるものたちもとっくに王都を離れるか、やはり『一なる騎士』の軍に身を寄せていた。
女官や侍従も半数以上は姿を消し、僅かに残ったのは忠心をいまだ捨てきれぬものたちだった。
しかし、その彼らのほとんども王宮の奥深く息をひそめ、『一なる騎士』の到着を、すなわち女神の裁断を待っていた。
つややかに光る白大理石の床。
高い天井もまた純白。
それを支えるために等間隔に建てられた円柱は白亜。
柱にしつらえれたランプから放つ光が、施された複雑な彫刻に奇妙な陰影を与える。
奥にしつらえられた一際高い壇上の王座は、天窓から差し込む光にまばゆく照らし出されていた。
何もかも白い中、王座のさらに奥には、『大地』の歴史を織り込んだ豪華な綴れ織りが下がっている。
金糸銀糸をふんだんに織り込んだ綴れ織りは、また陽の光を眩く弾いていた。
ここは『王の間』。
王宮の中心とも言える場所。
代々の王が謁見のために使ってきた大広間である。
常ならば、はなやかなに着飾った延臣が居並び、謁見を求めるものたちが後をたたない時間でもある。
しかし、今この場にいるのは、王と王の家族と乳母そして一人の騎士だけに過ぎない。ひっそりとしたものである。
いや、ここだけではなかった。
王宮内はすでに閑散としていた。
多くの近衛騎士が『一なる騎士』の軍に自ら投降し、王族に連なるものたちもとっくに王都を離れるか、やはり『一なる騎士』の軍に身を寄せていた。
女官や侍従も半数以上は姿を消し、僅かに残ったのは忠心をいまだ捨てきれぬものたちだった。
しかし、その彼らのほとんども王宮の奥深く息をひそめ、『一なる騎士』の到着を、すなわち女神の裁断を待っていた。