一なる騎士
「そう、あの子に会いに来たのね」
わずかだが、サジェルの声は咎め立てするかのように尖っていた。
「いけませんか。彼は次代の『一なる騎士』だ」
「そんなものでなければよかったのに」
ぽつりとつぶやかれた言葉に、リュイスは虚を突かれる。
まさか、次代の『一なる騎士』の母からそんな言葉を聞こうとは思わなかった。
リュイスにしてもそんなことは考えたこともなかった。自分は『一なる騎士』として生まれたことに疑問や不満を感じたことはなかった。だから、その責務を果たすのは当然のことだと思っていた。次代の『一なる騎士』とて同じだと。
「そうでしょう?」
同意を求められても、リュイスには応えることができない。
たしかに、今は『一なる騎士』としての自分に誇りを持っている。
仕えるべき、真の主を見いだしたのだから。
しかし、自分とて『一なる騎士』として生まれなければ、こんなには苦労しなかったかもしれない。まったく違う人生を送ったのかもしれないのだ。
まだ小さな甥に、同じことを期待するのは確かに酷かもしれなかった。
「ごめんなさい、リュイス」
黙り込んだリュイスにサジェルは謝る。そして意外なことを告げた。
「伝言があるの」
わずかだが、サジェルの声は咎め立てするかのように尖っていた。
「いけませんか。彼は次代の『一なる騎士』だ」
「そんなものでなければよかったのに」
ぽつりとつぶやかれた言葉に、リュイスは虚を突かれる。
まさか、次代の『一なる騎士』の母からそんな言葉を聞こうとは思わなかった。
リュイスにしてもそんなことは考えたこともなかった。自分は『一なる騎士』として生まれたことに疑問や不満を感じたことはなかった。だから、その責務を果たすのは当然のことだと思っていた。次代の『一なる騎士』とて同じだと。
「そうでしょう?」
同意を求められても、リュイスには応えることができない。
たしかに、今は『一なる騎士』としての自分に誇りを持っている。
仕えるべき、真の主を見いだしたのだから。
しかし、自分とて『一なる騎士』として生まれなければ、こんなには苦労しなかったかもしれない。まったく違う人生を送ったのかもしれないのだ。
まだ小さな甥に、同じことを期待するのは確かに酷かもしれなかった。
「ごめんなさい、リュイス」
黙り込んだリュイスにサジェルは謝る。そして意外なことを告げた。
「伝言があるの」