一なる騎士
 年齢が合わない気はする。体つきは五歳よりはもう少し大きいような。
 しかし、物言いは見かけよりもたどたどしい。

 果たして。

「うん」

 少年は一つ大きくうなずいた。そして、再び尋ねてくる。

「おじさん、だれ?」

「私はリュイス・フォーレン。君の叔父さんだよ」

「リュイスおじさん?」

「そうだ。そして『一なる騎士』だ」

 少年はちょっと首を傾げた。

「いち……、わかんない」

「そうか。でも、君が次の『一なる騎士』なんだよ」

 だが、少年はもうリュイスに興味を失ったようで、じれたように身動きをした。

「僕、帰るから」

 言うなり家の方に向かって歩き出す。

(あれがレイル。次代の『一なる騎士』か)

 ずいぶんと落ち着きのない子どもに見えた。
 言動が、見かけよりもずっと幼い。



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